ライフサイクルコストってなに?家を買う前に知るべきこと
家を買うと様々費用がかかります。建築費はもちろん、生活する中でかかってくる光熱費など様々です。家を買うなら、満足できて、なおかつ安い家を買いたいと思うものです。しかし、家を買う前というのは建築費に目が行きがちで、住んでからかかる費用について十分に考えられていない、もしくは考えているつもりになっていることがあります。あなたが建てようとしている、買おうとしている家は本当に安くて、良い家ですか?今回は、そんな家にかかる費用のお話をさせていただきます。
1、ライフサイクルコストってなに?
安い家は高い家?
家を建てる時に予算について考えると思います。
そんな時に気になるのが坪単価ではないでしょうか?
「大手ハウスメーカーは宣伝費などを含んでいるので坪単価が高くなる。」「だから、地元工務店やローコストビルダーで家を建てたい。」
なんて考える方もいるのではないでしょうか?
しかし、ライフサイクルコストという考え方をすると、「坪単価の安い家が坪単価の高い家よりもお金がかかる」なんてこともあるんです。
ライフサイクルコストとは
ライフサイクルコストとは、一言で言うと家の一生にかかるってくる費用のことです。
これには、イニシャルコスト、ランニングコスト、メンテナンスコストなどが含まれます。
まず、イニシャルコストとは、その名の通り初期経費、つまり建築費のことを言います。
家を建てる時の判断基準として考える要素の一つがまさにこれですね。
次に、ランニングコストとは、一言で言うなら光熱費のことです。
電気代、水道代、ガス代などがこれに含まれます。
最後に、メンテナンスコストとは、その名の通りメンテナンスにかかる費用のことです。
防腐防蟻処理や外壁塗装など、長く快適に過ごすために必要な家の修繕費がこれに含まれます。
2、住んでからのコストは意外とかかる
建築費は氷山の一角
ライフサイクルコストの説明をする時、よく出て来るのは氷山のイラストです。
水面から出て見えている部分が建築費です。
水面下にあって見えない部分が光熱費や修繕費が占めています。
この見えにくい光熱費や修繕費などの維持費が住んでから重くのしかかってくるのです。
建築費は○○%!?
では、ライフサイクルコストの内訳について簡単にご説明させていただきます。
あるデータでは、ライフサイクルコストのうち建築費の占める割合は20%程度なんてことも言われています。
残りの80%は光熱費や修繕費などの維持費なんです。
修繕費はこんなにかかる
光熱費は仕方ないとしても、修繕費ってそんなにかかるものなのかと思われる方もいると思います。
結論から言いますと、めちゃくちゃかかります。
基本的に10年毎に数百万単位での修繕費がかかることが一般的です。
どのような修繕にこれだけの費用がかかるのか、いくつか紹介させていただきます。
まずは外壁ですが、近年の外壁というのはサイディングという板状の建材を張り付けています。
これによって費用は抑えられ施行時間も短縮できます。
しかし、耐水性や耐錆性は塗装によって得られています。
この塗装の耐用年数は約10年ですので、その度に再塗装が必要になります。
外壁の再塗装の費用は大体50万~80万円ほどかかります。
また、サイディングの隙間の目地(コーキング)の打ち変えも必要な場合があり、20万~30万円ほどかかることがあります。
この他、シロアリ対策は5年毎に10万~20万円、屋根の再塗装に10年毎に30万~40万円などなど様々な費用がかかります。
3、ライフサイクルコストを安くするには
住んでからかかる費用を安くする
ライフサイクルコストを安くするには、住んでからかかる費用を安くすることが必要です。
言葉で言うのは簡単ですが、実際にどうすればいいのでしょうか?
耐久性を意識する
まずはメンテナンスコストを少なくするために、建材の耐久性を意識しましょう。
外壁にサイディングを使用する場合は、耐久性の高いフッ素系塗装や光触媒系塗装を施すと良いです。
また、トイレでお馴染みのTOTOが出している商品で、ハイドロテクトタイルというものがあります。
これは、光触媒を利用したタイルで再塗装は必要ありません。
一条工務店では、この光触媒技術を採用した自社生産のハイドロテクトタイルを取り入れています。
初期費用は掛かりますが、維持費があまりかからないコスパの良い商品だと思います。
次にシロアリ対策ですが、住友林業ではタームガードという、家の周りに防蟻薬剤を流すパイプを通すことで、5年毎にかかる費用を削減しています。
その他にも、工務店やハウスメーカー独自の方法でメンテナンスコストの削減をしています。
気密性・断熱性を考える
気密性・断熱性というのはランニングコストである光熱費を抑えるために非常に重要な事です。
まず気密性についてですが、皆さんは家に空いている隙間をすべで合わせるとどれくらいの大きさになると思いますか?
実は、昔の家ははがき10枚分ほどの隙間が空いていると言われています。
そんな穴が開いていたら冷暖房が相当無駄になっていることが分かると思います。
最近の高気密住宅ではがき2枚以下にまで隙間を少なく出来ています。
次に断熱性についてですが、断熱材について皆さんはどれだけご存知でしょうか?
一般的な断熱材として、グラスウールという硝子繊維のものが使われています。
非常に安価な断熱材ですのでよく使われるのですが、湿度に弱いという欠点があります。
グラスウールは綿のようなものですので、水を含むと重たくなり下にズレてしまいます。
そうすると断熱性が下がってしまうのです。
私がお勧めするのは、ウレタンフォームという断熱材です。
イメージとしては発泡スチロールのような感じです。(※厳密には違いますのであくまでイメージとしてとらえてください。)
発泡スチロールだったら水を吸ってもズレるようなことはありませんよね?
値段は高くなりますが、断熱性を保てるという点では非常にコスパが良いと思います。
断熱材以外で断熱性に関わるものとして窓が挙げられます。
窓は家の中で熱が逃げていきやすい場所なんです。
昔の窓は1枚のガラスでアルミサッシが一般的でした。
なので、冬になると「窓が結露でビショビショ」なんてことがありませんか?
そこで最近の断熱性の高い窓は2枚ガラスになっており、外気と内気が直接1枚のガラスでぶつからないようになっています。
また、アルミサッシは金属ですので熱が伝わりやすいため断熱性が低いのです。
これを解決できるものとして熱の伝わりにくい樹脂サッシがあります。
アルミサッシに比べれば耐久性は低いですが、数年でダメになるようなものではありませんので採用する事をお勧めします。
このように気密性や断熱性を考える事で光熱費を削減することができます。
4、まとめ
いかがでしたでしょうか?
・建築費はライフサイクルコストの氷山の一角
・ライフサイクルコストのうち建築費の占める割合は20%程度。
・ライフサイクルコストを安くするには、住んでからかかる費用を安くする。
・建材の耐久性や気密性、断熱性を意識する。
についてお話させていただきました。
家を建てる時は建築費に目が行きがちですが、大切なのは住んでからの生活の方です。
イニシャルコストを削ってしまったばっかりに、ランニングコストやメンテナンスコストに苦しめられないように気を付けてください。
その為にもいろんな人からたくさんの話を聞いて、皆さんに合った家づくりをして下さいね。
では、今日はこの辺で。